ショパンと第9②

ショパンのソナタ3番とベートーヴェンの第9という、明らかに直接の関係がなさそうなこの2曲の間に無理やり共通点を見つけ出そうとした前回の記事。


今日は音楽の内容について書いてみたいと思います。
第9について以前このように書いたのですが、

やはり一番の特徴は苦悩からの葛藤、勝利、歓喜というテーマが音楽構造から見てとれるところではないでしょうか!

暗いところから、明るい方へ明るい方へ、もがきながら向かっていく感じ。

以下、「太字」は過去記事の第9の説明です。


「1楽章は、明るい調と暗い調の間で葛藤しているような感じで、でもこの時点ではまだ完全に短調、暗い調です。」

ショパンの1楽章も実はかなり同じ感じなんです。ただこちらの場合は、1楽章の時点で明るい調で終わります。


「2楽章は、1楽章よりは身軽だけどまだまだ険しい。」

ショパンの方は険しさはなくて、ユーモア溢れる、面白い曲です。ちょっと息抜きの間奏曲みたい。(弾いている方は息抜けないんだけども)


「3楽章はうって変わってとても綺麗で、綺麗すぎて、なにも起こらなすぎて、つまらない(ベートーヴェンはある程度意図してわざとこのように書いていると私は思います)。
みんな寝ちゃうのはここでしょうね笑」

これはまさにショパンも同じ感じです。
ただ、何も起こらなさすぎてつまらない、という表現が合っているのかわからないですが、それよりは、静の中の究極美というか、瞑想状態というか、美しすぎる夢をみている感じ。
この曲はベートーヴェンと同じで、3楽章から4楽章の対比を狙っているのだと思います。

ということで4楽章に入った途端、夢から叩き起こされるのは2曲とも共通しています。



「そして4楽章の冒頭で、これまででてきた1楽章、2楽章、3楽章のメロディの断片が出てくるのですが、それをひとつひとつ否定していく箇所があるのです。

つまり、1楽章のもんもんとしたメロディに対して、

違う、これじゃない!

2楽章に対しても

これも違う!

3楽章に対しても

これも綺麗すぎる、何か目を覚まさせるものを探さねば

そして4楽章の一番大事なメロディ、歓喜の歌のメロディの断片が出てきて、

これだ!見つけた!


という具合に。
実際に言葉がついているわけではなくて、コントラバスやチェロで、まるでしゃべっているかのように単音で演奏されます。
説明されなきゃそんな意味わかんないですよね笑

そこから歓喜のメロディ。

最初にコントラバスとチェロで、地の底からかすかに、でもしっかりと響いてきて、

そこにヴィオラが温かく優しく乗っかり

最後にヴァイオリンが一筋光を差すように加わります。

ニ短調で始まったはずが、4楽章が終わる頃には完全にニ長調、明るい調に変わってしまいます。


1時間以上かけて、
暗く混沌とした世界から、
スパークルのごとくキラッキラの金ぴかに輝いた神様の世界へ
突き進んで行くんですね。」

ショパンの方はさすがにここまで凝った作りではなく、とっても単純明快なロンド形式で、長さも5分程度と短いですが、このソナタを締めくくる怒涛の5分間です。
この5分間にどれだけの音が詰め込まれているんだろう…(*_*;

そして、やはり暗い調でもんもんと始まったのが、最後には勝利や歓喜を思わせるような力強い長調(明るい調)で締め括られます。


ということで、全体を眺めて比べてみたときに、この2曲はテーマや構造が少し似ているように感じるのです。

とはいえ、ベートーヴェンとショパンでは音楽の語り口や響きのとらえ具合、手の感覚からして全く違うので、受ける印象はかなり違うのですが。


いつも読んでいただきありがとうございます🍀



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