女性が弾くピアノ

ピアノって、そもそも男性用の楽器だってご存じですか。



ヨーロッパの男性の大柄な体型に合わせて発展し作られてきたピアノ。鍵盤の大きさも重さも男性用に設計されています。


そしてそんな男性たちによって作られた作品を演奏するわけですが、当然、筋力があって、手が大きいという前提で書かれた作品が多いです。

しかも、そういった物理的な問題だけではありません。


クラシック作品は、ヨーロッパの教会さながらの、立体的な構造のものが多く、それを理解するには、男性的な理詰めの視点が必要。男性の脳から生まれたものなので男性的な脳ミソで考えないといけないわけです。


ホロヴィッツは、女と東洋人にピアノは弾けないと言ったそうですよ。

(うっせ!)

これはさすがに言い過ぎですが、不利であることは確かだと思います。


私自身も、大柄な男性との音量・技量の差に随分悩まされました。

結局のところ、音がデカイ人が勝つ世界なので、
一時期は負けじ!とガンガン弾いてたら、腕も痛くなるし、なにより精神的に疲れてきて、なにひとつ上手くいかなくなってしまいました。


そもそも対抗しようとすること自体間違っています。
対抗したところで最初から勝てるはずのない戦いはするべきではありません。


それで、私はどうしたかというと、徹底的に自分の身体に寄り添うことにしました。

自分の身体を、本来と違うサイズ、違う質に無理矢理持っていくのではなく、

まず本来の状態であることを許しました。

そして、その本来の状態、力まなくても良い自然の状態を優先して、その範囲でできる表現をしました。

それを実践していた当時は、相当薄くて平たい表現になっていたと思います。

そして、よく食べよく眠りよく弾いているうちに、体重が増え、身体に厚みが出てきました。その体重を全部鍵盤に乗せれば、そこそこ音が出るようになりました。
とはいえ、やはり男性のようにはいきません。

でもそれでいいと思っています。
今の自分の身体に一番フィットした表現であることが大事なんです。
それは聴き手に説得力として伝わります。



女性が成長するためには、

ひたすら自分の内側と向き合うことです。

ヨガとかをやっているときの感覚に近いですね。ヨガが好きな女性は多いですが、男性はあまり理解できない人が多いように思います。

それは当然のことで、自分の内側と向き合うことが女性ほどは必要ないのだと思います。

でも女性はこれ必須です。ここを抜かしたらなにもできないよ。



そんなんで、実は私、男性ピアニストの演奏より、女性ピアニストの方が感動することが多いんです。

もちろん一概には言えないですが、

男性の方が物理的にはすごいし、単純に圧倒されるのですが、

上手な女性の演奏は、身体の内側の、体幹に近い辺りの動きがより活発で、それがものすごく見応えがあるな、と感じることが多いです。


私もそんな演奏ができるように頑張ります♪


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