テンポと間の取り方

音楽を演奏するとき、テンポや間の取り方が大事なのは言うまでもないくらい当たり前の話です。



でも、なぜそんなに大事なのかというと、

テンポひとつでその曲の持つ雰囲気がガラッと変わってしまうからです。



例えばこちらのショパンのピアノ協奏曲、冒頭だけ聴いてみてください。


https://youtu.be/SW5dOtzd4m4


ソリストはアルゲリッチ、指揮者はデュトワ。


かなりサクサク進んでいる感じですが、この曲はこんな感じで演奏されることが多く、スタンダードなテンポだと思います。



対してこちら、ツィメルマンの弾き振りによる演奏です。


https://youtu.be/AnrD9eLReCA


こちらは重くたっぷりです。




このように、テンポや間の取り方によって、違う曲?!というくらい雰囲気が変わるのですが、



曲全体の基本テンポが劇的に変わったわけではなくても、

拍の点を感じて演奏するか、流して演奏するかで大分雰囲気が変わってきます。



例えばこちら。


①拍の点を丁寧に感じた場合。




②こちらは流した場合






いや、分かりにくいよ、という人は、試しに指でテンポを取ってみてください。


ほんの微妙な違いなので分かりにくいかもしれませんが、落ち着いた中で表現しているのと、さくさくと軽快に進んでいくのとでニュアンスが違います。





これもテンポのコントロールのうちのひとつ。



ただ、こういった微妙な調整はとても難しくて、


例えば、
①のときに拍の点を意識し過ぎたり、
ずーっと同じように拍の点を感じて弾いたりすると、
ものすごく教科書的でつまらなくなってしまったり、





②のときに流しすぎて拍の点を一切感じないでいると、
ブレーキの効かない自転車のごとくただただ流れていくだけで表現どころではなくなってしまいます。






かといってメトロノームに合わせて練習すればいい、というものでもありません。


メトロノームは、基本的なテンポをまだ取れない場合は有効なのですが、
当然こういった微妙な調整はできません。



なぜかというと、実際の曲の中では、


フレーズごとに、
もっと言うと音ごとに、



テンポは少しずつ違うから。



速いか、遅いかに単純に割りきれるものでもないんですね。



最初のショパンのピアノ協奏曲だと、
ツィメルマン版はフレーズごとのテンポが少し違っているし、間合いも多くとっていて、
いわゆる「揺らしている」という言い方をしますが、
その加減が絶妙で、行き過ぎず、でも効果的にやっているので、すごいなぁと思います。
最初にこれを聴いたときは少しびっくりしました。



ここからは間の取り方の話になってくるのですが、それはまた次回🔜





youtubeページはこちら
プロフィール、レッスン情報はこちら

このブログの人気の投稿

ブログリニューアル

小さい手でピアノを弾く

岩崎結 プロフィール・レッスン情報

カルメンによる華麗な幻想曲~7月8日コンサートから

7月8日コンサート・共演者紹介

ピアノを弾くときの小指の存在

ショパンと第9

合唱ピアニストのお仕事

動くものと動かないもの

あけましておめでとうございます🎍